祈りの頂 富士山 VOL.3

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夕日のダイヤ 水面に

夕映えの空が田園地帯に広がり、富士山の稜線(りょうせん)がはっきりと見え始めた。田んぼではカエルが鳴き始め、空がグラデーションに染まり出す。人々が水の恵みに感謝し、豊作を祈願する霊峰の頂に夕日が重なり、光芒(こうぼう)が伸びる。地上の静かな水面にも神秘的な光景が映り込み、一日の終わりを優しい光が包み込んだ。
夕日が富士山頂に重なり光芒が伸びる。水を張った田んぼにも神秘的な光景が映り込んだ=2020年04月30日、御殿場市

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工場群に湧水の恵み

日没後の濃紺の空に雄大な富士山のシルエットが残った。麓に広がる工場や施設、集落の明かりが彩りを添える。富士市は富士山の豊富な湧き水などの恩恵を受け、製紙業を中心にした工業が盛ん。紅白の煙突も目立ち、夜空に立ち上る白煙が地域の営みを感じさせた。霊峰の恵みは人々の生活を支え続けている。
日没後の濃紺の空に残る雄大な富士山のシルエット。工場や集落の明かりが彩りを添える=2020年04月28日、富士市

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朝日と雲海に浮かぶ

春の富士山頂付近を覆う厚い雲が抜け、白み始めた空に雄大なシルエットが浮かび上がった。前日の雨の影響もあり、地上には薄い霧が立ち込め、裾野には雲海が広がる。晴天とは異なる幻想的な雰囲気の中、変化する雲間から山頂付近を神々しく照らし始める朝日。一日の始まりを力強く告げ、麓では人々が祈りをささげる。
雲が広がる幻想的な雰囲気の中、富士山頂付近から顔を出した朝日=2020年04月21日、富士宮市