祈りの頂 富士山 VOL.1
古くから信仰の山としてあがめられてきた富士山。人々は生活生業の中で霊峰に手を合わせ、繁栄を願い、災いを収めてほしいと念じてきた。新型コロナウイルスの感染拡大を憂い、災厄の終息を願う皆さんに、さまざまな姿を見せる「祈りの頂 富士山」をお届けします。

漆黒の闇 天の川共演
漆黒の闇に包まれた富士宮市の朝霧高原。薄雲が途切れた午前2時すぎ、富士山上空に満天の星。霊峰と共演するかのように「天の川」が浮かび上がった。光の帯が際立つ春から秋にかけて見られる幻想的な情景。冷たい空気の中、神々しさを感じさせた。しばらくすると再び雲が空を覆い、天体ショーは終演した。
富士山上空に浮かび上がる天の川=2020年4月24日、富士宮市朝霧高原から

眼下に望む 駿河湾
ヘリコプターは高度4500メートルから標高3776メートルの富士山山頂に迫る。上空に吹きすさぶ西風に機体を同調させ一体化する。眼下に厚い雪に覆われ凜(りん)とした厳しい姿の山頂が現れ、視線の先には紺碧(こんぺき)に染まる駿河湾が広がる。人々が仰ぎ見る天空の頂は、強い冷気に包まれ静寂そのものだった。
眼下に望む富士山(手前)と駿河湾=2020年04月25日、本社ヘリ「ジェリコ1号」から

暁天の影へ誘う街路
空が徐々に白み始めた夜明け前、富士山に続くように伸びた富士市の商店街の先に、そびえ立つ頂が見え始める。富士山のふもとに位置する市のブランドメッセージは「いただきへの、はじまり」。夜明けとともに、富士山への扉が開かれたような壮大な光景が広がる。霊峰に見守られ、街は今日も動き始める。
眼下の街を見守るようにそびえ立つ富士山=2020年04月29日、富士市