富士山 from 東京
首都から望む霊峰を紹介します。

羽田空港「にぎわい 共に待つ
首都の「空の玄関口」の機能を担う羽田空港。新型コロナウイルス感染拡大による緊急事態宣言の延長が決まった2月上旬、稼働が激減した国際線のターミナル越しに、雄大な富士山のシルエットが夕闇に浮かび上がった。コロナ感染防止に伴う渡航制限で国際線のターミナルは閑散とし、インバウンド需要による以前のようなにぎわいは無い。フライト情報を掲示する空港内のボードには、欠航の文字が並んだ。人々の生活が大きく変化する中、富士山は変わらぬ雄姿を見せる

スカイツリー「日本一」重なる輝き
高さ634メートルを誇る日本一高い建造物「東京スカイツリー」と、日本一高い富士山の共演は、首都ならではの風景。江戸川を挟んで対岸の千葉県市川市の高台は、知る人ぞ知る富士山の眺望スポット。2月4日夕刻には、日没時の太陽と富士山頂が重なる「ダイヤモンド富士」を確認できた。コロナ禍が影を落とす社会にあっても、変わらぬ姿を見せる富士山。人々が寄せる思いもまた普遍。その存在が薄れることはない。

東京富士見坂
JR目黒駅から徒歩約5分、マンションや飲食店、ホテルが混在する街中に「東京富士見坂」と呼ばれる坂道がある。国土交通省が定めた「関東の富士見百景」の一つ。都心のビルや電線の切れ目から富士山を望むことができる。「今日は富士山がきれいに見られるね」。買い物袋を提げた主婦が話し掛けてきた。静岡県内だけでなく都内にも古くから「富士見」の名が付く地名や坂がある。霊峰は、時と場所を超えて親しまれている。

国会議事堂 "禍"の論戦舞台を抱く
新型コロナウイルス対応の改正特別措置法と改正感染症法が国会で成立した2月3日。御影石の国会議事堂と首都の高層ビル群を抱くように、富士山が丹沢山地の背後から白い頂をのぞかせた。JR東京駅近くに立地する地上高約180メートルの丸ビルの35階からの景色だ。国内初の新型コロナ感染者が発見されてから1年が経過した。県内でも収束の見通しが立たない中、国会では連日、日常を取り戻すための審議が続く。

国立競技場
開幕が迫った東京五輪・パラリンピック。首都上空からメインスタジアムとなる国立競技場を本社ヘリで捉えた。カメラを構えると、はるか望む富士山と一緒に納まった。隣接する東京体育館は、県勢選手の活躍が期待される卓球競技を予定。五輪自転車ロードレースは都内をスタートし、ゴールの富士山麓を目指す。五輪・パラのアスリートが競い、観客が集う日は来るか。新型コロナの影響で開催の行方は混沌(こんとん)としている。